ウルトラセブン
東京都世田谷区砧8-2-21 砧八丁目児童遊園
ウルトラセブンは違った。
まず、ウルトラ兄弟で唯一人「マン」が付かない。ウルトラマンセブンではないのだ。外見も裸の肉体美とアルカイックスマイルからイメージされるギリシャ的なウルトラマンに対して、真っ赤な体に鎧をまとった姿が好戦的なローマ帝国の戦士を思い起こさせる。
一緒に戦うウルトラ警備隊も、ウルトラマンの科学特捜隊に比べて軍隊に近いイメージがあって、子ども心に少し怖いと思っていたことを思い出す。
そして戦う相手は「地球侵略を狙う宇宙人」だということになっていた。しかしシリーズが始まって早々の第6話で、「地球人だって立派な宇宙人じゃないか」と言ったペガッサ星人の故郷が爆破される。つまり宇宙人ではなく異星人、地球人(われわれ)ではない「他者」を敵とする一つの考え方が示されたのだ。
しかし本当にそうなのか、異星人を無条件に敵対するものだと考えるのは間違っているのではないか、と疑問を投げかけるようなエピソードがこの後いくつも発表される。当時小学生だったわたしには難しい問いかけだったけれど、背伸びをしてあれこれ考えたものだった。
セブン像の台座には「対話と共生」というメッセージが添えられている。ウクライナやガザで紛争が続き、分断をあおるような発言がSNSに飛び交う昨今、セブンの物語に込められていたメッセージを今一度見直してみるべきなのではないだろうか。