晨
東京都渋谷区恵比寿2-34-10 東京都立広尾病院

朝倉響子の裸婦像を初めてみた。
タイトルの「晨」はあしたと読む。夜明け、あるいは夜明けを告げる鶏鳴、というような意味がある。モデルの名前ではないタイトルも初めてだ。

例えば、人気のない森の奥に秘められた湖の畔で山の端から射す曙光を迎えるニンフの姿。そんないかにも芸術的なテーマを表現したように見えるところが、今までに見てきた彼女の作品と違っていて新鮮だ。
ここからほど近い都立中央図書館には、同じタイトルの着衣の像がある。同じくポニーテールで似たようなポーズをしているが、両手を首筋にあてるようにしていて雰囲気はまるで違う。
裸婦の方が純粋に夜明けの光景に感動している姿だとしたら、着衣の方はその姿を後ろから見ていて、素直に感動できない複雑な思いに戸惑っているように見える。
森の中を抜けてきたら不思議な湖があってちょうど日が昇るところだったわ。あの人は妖精かしら。朝日を浴びてとてもきれい。やだ、わたし何を見ているのかしら。
